11月24日

 Fish on!
 朝6時過ぎに小意を感じてデッキに上がると、座長と課長がニンマリとした顔
で座っていた。用を済ませて戻ろうとすると、
「仕留めましたよ、マグロ・・・」と課長が笑顔。
 朝一で流しておいたケンケン(ヨットの後部からトローリングのように疑似餌
を流して釣るスタイル)のルアーで70センチほどのキハダマグロを釣り上げてい
たのだ。
「もう、捌いて冷やしてありますよ」と座長も満面の笑みを溢した。
(70センチのキハダが冷蔵庫で眠っている・・・これから3日間ほどはまぐろ三
昧だ!)とサケダイスキもほくそ笑んだ。

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 朝8時森シェフが起きがけから何やらゴソゴソとシンクに向かっていた。バン
クで体を起こして覗き込むと、餅の袋を取り出して何やら煮込んでいる。暫くす
ると甘い香りがキャビンに漂った。
「お汁粉出来ました」とデッキ上の座長課長呼びかけた。
 そうそう、太平洋を東西南北何度も往復してきたベンガル回航チームの記念行
事として、日付変更線や赤道を通過した際にお汁粉を賞味するという習慣があ
る。何故?なんでお汁粉なの?と聞いても理由は定かでないらしいが・・・。
 とにかく、朝食は餅が2つ入ったお汁粉の甘味が新鮮で元気が出てきた。

 そして待ちに待ったお昼がやってきた。
 今日のお昼は当然、まな板一杯に一口大に盛られたキハダマグロの刺し身だ。
森シェフの後ろ姿が今日は料亭の板さんに見える。ワサビ、ショウガ、ニンニ
ク、ラー油を使い分けながら我ら4人のオジサンはなんと4合の飯をほとんど無
口で平らげた。一人頭なんと一合飯である。一日のほとんどを立ち尽くすか、
座っていることを考えれば、随分と燃費の悪い連中だと揶揄されても仕方ない
が、なんと言われてもいい。
 美味かった、新鮮だった、ありがたかった。

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そういえば、5日ほど前にもケンケンの仕掛けを食い千切って逃げたあの2m
を超えるカジキマグロはどうしているかな?
 痛みなのだろう、仕掛けを口にかけたまま血を流して海面を何度も飛び跳ねて
もんどり打ちながら、ベンガル7を睨みつけて一周りしてから去っていったあい
つ・・・。今頃はサメの胃袋に収まっていることだろうな・・・。
 尊い、2匹のマグロの命に合掌・・・。

 小笠原を出てもう10日が過ぎた。
 明日は満月だ。

                      ハラケン